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としてのアイデンティティを何に求めたらよいか、少し大袈裟ですけれども、そういうふうに考えることがあります。
たまたま私が正倉院宝物の管理をしておりますので、よけい正倉院宝物が日本文化を考える上で大変重要だと思うのかもわかりませんが、恐らく大多数の日本人も私どもと同じように、あるいはそれ以上に正倉院宝物の役割を認識し、その宝物の彼方にシルクロードを見ているのではないでしょうか。
多くの日本人が正倉院を通してシルクロードを見ている、あるいは逆にシルクロードから正倉院を眺めるということも現実に行われています。そこにはお互いに、先ほどこ覧いただきました類似の宝物があるという、文化の共通性を認識するというだけではなくて、私ども日本人の文化の源流がそこにある。それは心のよりどころにもなるものがあるからではないでしょうか。少し強引過ぎると受け取られるかもわかりませんが、シルクロードとはそのような魅力を、あるいは魔力かもわかりませんが、そういうものを持っているのだと思います。したがって私ども日本人にとって、今後さらにシルクロードの重要性が高まるものと確信をしております。
最後になりましたが、大変貴重なフォーラムでこのようなお話をさせていただきましたことに主催者並びにご参列の皆様方に改めて感謝し、この話は今後の会議の上で何ほどかのご参考になりましたら大変幸いに存じております。会議の成功を祈念いたしまして私の話を終わらせていただきます。
どうもご清聴ありがとうございました。

 

 

 

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